Album
リリース日2023.04.05
- LP
- 配信
レーベル雷音レコード
収録曲
1.ばねもち2.ベルリンの森(RHION Ver.)
3.台風のあとで(RHION Ver.)
4.さよなら青春(RHION Ver.)
5.カルダモン
6.私は何を言っていますか?
(LP版は以下からB面)
7.掌中の珠
8.くずもち
9.はぐれ鳥のタマシイ
10.ペペロンチーノ(RHION Ver.)
11.台風のあとでのあとで(ALBUM Ver.)
本秀康(雷音レコード)のコメント
kiss the gamblerが2ndアルバム『私は何を言っていますか?』をリリースします!
1stアルバム『黙想』はリリカルで繊細な歌詞とメロディが印象的なアルバムでしたが、今作は「かなふぁん(kiss the gamblerのアーティスト名です)に何があったんだ!」と腰を抜かすほどにタフな楽曲「ばねもち」からスタートします。
『黙想』リリースのあと、気乗りしていなかった会社勤めを辞めて音楽活動に専念できるようになったすがすがしい心境が曲作りに影響しているのだと思います。この点が前作との一番の違いなのですが、その吹っ切れた様が『黙想』から変わらぬ繊細な文芸スタイルの歌詞で表現されるのですからたまりません。ヤケクソのようで繊細。その捩れ具合がロックなのです!プロデュースは谷口雄くん(ex.森は生きている)。
kiss the gamblerのサウンドを谷口くんと僕が好きなアメリカン・ルーツロックの方向に寄せたくて彼を起用したのですが、当初の僕の思惑通りに仕上がった楽曲は半分くらいです。あとの半分はセッション中に谷口くんとかなふぁんが意気投合し、スタジオで様々な実験が繰り広げられたことで、既存の音楽では測れない新しいジャンルの音楽になりました。
こうして斬新なサウンドを持つkiss the gamblerの2ndアルバムが完成しました。もちろん、「台風のあとで」「カルダモン」に代表される普遍的な佇まいの kiss the gamblerらしい心に染みるバラードもたくさんあります。「ペペロンチーノ」などは思わず踊り出したくなる、kiss the gambler式ダンスチューンだし、大幅に曲調のバリエーションが広がり、今作はkiss the gamblerの自己最高点に到達しました!
前作『黙想』に惚れ込み、僕はkiss the gamblerの音楽をもっと世に広めたいと 思いました。昨年春からの1年間で、雷音レコードは『黙想』をLP化し、4枚の 7inchも作りました。でも一番やりたかったことは、kiss the gamblerに最高の環境で最高の新作アルバムを作ってもらうことでした。それが今完成しました!あとは 皆さんに聴いてもらうだけです。どうぞよろしくお願いします!
アルバム全曲解説 by かなふぁん
「ばねもち」
新しい一歩を踏み出したいのに、過去のしがらみが追いかけてきて前に進めないことがあります。自分の背中にバネが生えていて、その先に大きなお餅がついているような感覚…。そんな風に可視化してみると、自分の中でパツン!と豪快にばねを切ることができて、なんとか前進することができました。みなさんも、意地悪な「ばねもち」に早くさよならしましょうね!
「ベルリンの森」
学生の頃、辛いことがいっぱいあってすごく心細くて「自分の居場所ってどこにあるんだろう?」と悩んでいました。あの時思い出しておけばよかったのは、幼い頃、おじいちゃんと散歩した真っ暗な夜の畦道の、虫やカエルの鳴き声だったんじゃないか…。ある日、フランクルの「夜と霧」という本を読んでそんなことを思ったわけです。だから、いつかこどもたちと歌えたらいいな~と思っていたら、 なんと「かもめ児童合唱団」のみなさんに歌ってもらえることになりました!
「台風のあとで」
知り合いの夫婦の話です。ある日、統合失調症の旦那さんが6回目の家出をして帰ってこなくなったという話をFacebookで知り、心配になって奥さんにメッセージを送りました。「ずっと支えていたつもりだったのに、何も言わずに出て行ってしまって、もう帰ってこないかもしれないの…」 そんな奥さんに寄り添いたくてこの曲を書きました。この頃から「人に尽くす」ということの意味について考え始めるようになります。
「さよなら青春」
「卒業」をテーマに曲を作るというイベントに誘われて作った曲です。卒業と恋を結びつけて何か書いてみようと思ったのですが、私の経験的に小学校の卒業式のことしか思い浮かばなくて、必死にあの頃の気持ちを思い出しながら書きました。ちょっと恥ずかしいから弾き語りのライブではあんまり歌いません。笑
「カルダモン」
ミスドで大好きな友達を待っていた時のこと。右のテーブルでは高校生くらいのカップルが好きなドーナツの名前を当てっこして遊んでいて、左のテーブルでは明 らかに不倫関係にある年配のカップルが、いつ休みを合わせてどこで会えば大丈夫かという話をしていて、まるで天国と地獄を同時に見ているようでした。何か、誰かを「手に入れる」ために、すごく辛い思いをして生きている人たち…それはストレスの多い社会で自分を消して働いている人たちとも重なるように思えます。この曲を聞いて、その人たちが今より楽になれるといいな。
「私は何を言っていますか?」
レコーディングの休憩時間に、影山朋子さんと一緒にMarimbaで遊びながら作りました!
さて、このアルバムの中で私は何を言っているでしょうか?
「掌中の珠」
おじいちゃんに昔電話で「掌中の珠」という言葉を教えてもらったことがあって…。
「くずもち」
言いたいこと言えなかった…でも大丈夫。1人でいる時に、どうしても言いたかっ たこと、いっぱい紙に書いてみてね。という曲です。
「はぐれ鳥のタマシイ」
結婚式の二次会で、昔友達だった人たちがみんな「今手に入れたいもの」と「自分の年収」の話をしていてがっかりして作りました。
「ペペロンチーノ」
音楽を初めたばかりの頃に何も考えずに練習で作った歌を、谷口雄さんにお願いしてWilcoのようなノリのいいダンスミュージックにしてもらいました!アウトロの 笑っちゃうほど上手なnatsunoのギターソロにも注目です!
「台風のあとでのあとで」
錚々たる演奏家の皆さんの即興のグルーブの中で、かなふぁんがピアノで必死についていくセッション。広い心で聴いてください!